借り初めのひみつきち

仮ブログです。

MEGFS

古の MEG-OS は MEGFS という独自ファイルシステムをサポートしていました。

それ、 FAT でよくね?

MEGFS はファイル管理にファイルアロケーションテーブル (いわゆる FAT) を採用するなど FAT によく似た特徴を備えており、 FAT と MEGFS の違いは FAT と exFAT の違いと同程度のものでした。

細かい仕様は失われてしまったので筆者もよく覚えていませんが、 ファイルの読み書きをするために専用のツールが必要で面倒なだけでとくにメリットもなかったのですぐに使われなくなりました。

もうひとつの特徴

MEGFS では論理フォーマット以上に興味深い特徴として、特殊な物理フォーマットを採用していました。

実は、素のフロッピーディスクは普段使っているよりも多くの情報を格納することができます。

例えば、 2HD は 1.2MB もしくは 1.4MB というイメージがあるかと思いますが、ディスク本体は 2MB くらいのビットを書き込める磁性体が使われています。 両者の容量のギャップはどうして存在するかというと、物理メディアを回転してデータを読み書きするため、回転によるムラやヘッドのズレでデータが失われないようにする緩衝帯などの役割があります。

初期のドライブは回転ムラも大きかったようで、標準的なフロッピーのフォーマットは緩衝帯を大きめにとって容量が決められました。 やがてドライブの性能が向上してくると緩衝帯が過剰になってきました。

また、当時日本の PC でよく使われていた 1.2MB の 2HD では本来ドライブもメディアも 80 シリンダまで使える状態であえて 77 シリンダに制限して使われていました。*1

そこで、 MEGFS はフォーマット時のパラメータを調整して PC-98 で標準的に 1.2MB になるディスクを 1.4MB で使えるようになっていました。

IBM PC 2HD NEC PC98 2HD MEGFS 1.4M
容量 1440KB 1232KB 1440KB
バイト/セクタ 512 1024 1024
RPM 300 360 360
C 80 77 80
H 2 2 2
R 18 8 9
N 2 3 3

IBM PC の 1.4MB と MEGFS 1.4MB は容量が同じですが物理フォーマットが違います。*2 このように比較すると NEC PC98 の 2HD をベースに 1.4MB 使えるように拡張したことがわかるでしょう。

ゆめのあと

このように頑張って容量稼ぎをしていた MEGFS ですが、本格的に IBM PC の時代がやってくると普通に 1.4MB 使えるようになり、フロッピーの時代の終わりも見えていた当時フロッピー以上の大容量のメディアでは FAT 同様に問題があることが既に分かっていたファイルシステムを発展させるモチベーションも乏しく、 MEG-OS の開発終了とともに MEGFS もしずかに終了しました。

*1:5インチだったか8インチだったかで既に使われていたフォーマットと合わせたと言われています

*2:地味ですが、容量が同じだったので論理フォーマットレベルでは両者を区別できず、イメージファイルは同じものが使えました