借り初めのひみつきち

仮ブログです。

Wasm on Wasm

ついに、 WebAssembly の自作エミュレータの上で動く自作 OS の上で自作 WebAssembly ランタイムが動くようになりました つまり Wasm on Wasm ですね٩( 'ω' )و 以下に試験的に体験版設置してるので起動してみることができます。 meg-os.org もちろん PC98 …

initramfs

コンピューターの神秘のひとつに、起動時にファイルシステムドライバを読み込むためにファイルシステムにアクセスしなければならないという矛盾があります。 現代の OS では起動に必要なファイルを収めた簡易ファイルシステムを RAM に展開してこれを解決し…

MYOS の起動処理概要

MYOS の起動処理をかんたんに解説します。 MYOS をメインに解説しますが、 TOE は MYOS のサブセットとして開発が始まったので共通点も多いです。 Boot Loader 〜 カーネルエントリポイント まずはブートローダーが起動します。ブートローダーの細かい動作は…

スケジューラーと優先順位の逆転

MYOS のスケジューラーは SMP に対応しています。 つまり、 CPU を 100% 使おうとする重いタスクが2個あった場合、合計で 200% ほど使うことができるわけです。 これがシングルコアだったら 100% を仲良く分け合って 50% しか使うことができません。 マルチ…

3種のビットマップ

昨日の日記で何故ビットマップクラスが3種類必要になるのか少し補則します。 生ポインタと Box 旧 MYOS のビットマップは生ポインタでデータを管理していました。 これは所有権もライフタイムも Rust によって管理されておらず借用の制限もなかったので C …

ビットマップクラス統合

近代的な OS は一部の組み込み用途をのぞくと画像処理が不可欠です。 MYOS や TOE も画像処理にそれなりの割合を割いています。 MYOS と TOE の大きな違い MYOS の主要なターゲットは UEFI で、 UEFI では 32bit ARGB 形式が標準です。 また、近代的な画像処…

アクティビティモニターの作り方

MYOS や TOE にはアクティビティモニターがあります。 これらは見せ方が若干異なりますが、定期的にスケジューラーが集計したデータをそのまま表示しているだけです。 では、スケジューラーはどのように集計しているのでしょうか? CPU時間 スレッドの切り替…

CD から OS を起動する

昔の OS は CDROM で提供されていました。 TOE は標準でフロッピーから起動しますが、さいきん入手難しくなってきたので CD 起動に対応したいと思います。 ロメオとジョリエット CDROM のファイルシステムはたくさんの規格が複雑にからんでいます。 CDROM は…

MEGFS

古の MEG-OS は MEGFS という独自ファイルシステムをサポートしていました。 それ、 FAT でよくね? MEGFS はファイル管理にファイルアロケーションテーブル (いわゆる FAT) を採用するなど FAT によく似た特徴を備えており、 FAT と MEGFS の違いは FAT と …

新しい自作 OS 始めました

前回の日記で作り始めたもの、それは新しい OS でした。 概要欄 今のところ特徴を myos と比較すると以下のようになります。 myos のサブセット的な感じになっていて一部ソースを流用しています。 MYOS TOE コードネーム myos toe アーキテクチャ x86-64 x86…

妖精さんとなかよくなるほうほう

年初まで x64 や WebAssembly で Rust を色々いじってましたが、少しお休みして x86 でコードを書いてみようと思います。 動かす環境はベアメタル ʕ•ᴥ•ʔ になりますが、 Rust はベアメタルの適切なターゲットがありません。 CPU さえ合ってれば OS はどうで…

ぬるぽ警察24時

myos では Null Pointer Exception は発生しません。 理由は2つあって、言語に Rust を採用しているというのと、 Null Pointer Exception が発生するようにページングを設定していないからです。 事件編 Rust には Null Pointer Exception によく似た別のエ…

myos の描画アーキテクチャ

myos のウィンドウ描画アーキテクチャについて解説します。 執筆時点での情報なのでバージョンによっては詳細が異なる場合があります。 なお、ここにあるのはカーネルの構造なので、アプリケーションレイヤーではラッピングしたオブジェクトなど詳細は異なり…

Rust の Null Pointer Optimization

古き良き C 言語では NULL ポインターがよく使われましたが、 NULL の発明者は10億ドルを超える莫大な経済損失を引き起こしたとのちに後悔しました。 モダンな言語は NULL に対する安全性を担保する仕組みを持っています。 Rust では Null 安全性のために Op…

Rust 自作 OS 日記/Part 9 my new os...

2020 年を振り返ってみると、色々と検討した結果もう Rust を勉強するしかないなー ということになって春ごろから Rust の勉強を開始、そして myos の開発が始まりました。 さて、およそ半年開発を続けてきた「myos」ですが、 「私の OS」ってなんやねーん …

BASIC-DOS

さいきん変な OS が発表されたっぽいです。 basicdos.com 2020 年になって DOS !!! ぼくはこういうソフトを見つけた時に、普通の人とはちょっと視点で見てしまいます。 このソフト、ぼくの自作エミュレータで動くのかな? バイナリないナリ ということで、ま…

Rustの基本戦略

さいきん Rust の基本戦略をやっと完全に理解しました。 オブジェクトはスタックに割り当てます。(スタックポインタを減算するだけ) 所有権とライフタイムによってオブジェクトの生存期間が関数の生存期間を超えないように制御します。 関数を抜けたらスタ…

ロゼッタと林檎と

最近 myos の開発していて気になったことがあります。 myos のスケジューラーをほとんどいじってないのに今まで見たことない不審な動きをするようになったんですよ そういえば、開発用の Mac を Intel から Apple に買い替えました。 そして、現状 Apple Mac…

Rust 自作 OS 日記/Part 8 🔔

飲食店のテーブルには謎のボタンがついていることがあります。 お店の中のものを勝手に触ると怒られますが、謎のボタンを押すと店員さんがやってきていろいろなサービスを受けることができます。 これって何かに似てませんか? 前回は WebAssembly のランタ…

Rust 自作 OS 日記/Part 7 次世代の OS へ。

myos の開発をはじめておよそ半年が経ちました。 前回の続き 前回の日記より実装も進歩してはりぼて OS でできることの8〜9割程度が myos でもできるようになりましたが、まだいくつか課題があります。 そもそも myos ははりぼて OS ベースではないし、は…

Rust 自作 OS 日記/Part 6 過去最大の更新

このシリーズの記事は月1くらいで書こうと思ってて前回からそんなに日付も経ってないのですが、 ここ最近で過去最大にいろいろ変わってしまったので前倒しで書くことにします。 initrd 某はりぼて OS では起動時にフロッピーディスクの内容をメモリに転送し…

Rust 自作 OS 日記/Part 5 マルチタスキング

古代のコンピュータでは1台のコンピュータでひとつのタスクを実行するのが普通でした。*1 現代のコンピュータでは1台のコンピュータで複数のタスクを同時に実行するのが当たり前となり、さらには複数の OS を並列に動かす技術さえあります。 複数のタスク…

Rust 自作 OS 日記/Part 4.1 おまけ

前回の日記でひとつ触れ忘れました。 Rust 自作 OS 日記/Part 4 フォントのはなし - 借り初めのひみつきち ベクターフォントのラスターフォントにないもうひとつの利点、 それは描画予定のサイズよりあらかじめ大きいバッファに描画してから縮小して実際の画…

Rust 自作 OS 日記/Part 4 フォントのはなし

古きよき太古のコンピューターは ROM にフォントを内蔵していたので文字コードを指定するだけで画面に文字を表示することができました。 現代のコンピューターは広大な画面に自由に図形を描画できるようになった代償として文字を表示するためにフォントが必…

ACPI 2.0

いまどきの PC 用 OS では ACPI 対応を避けて通ることができません。 現在、私の OS では以下の ACPI ライブラリを利用しています。 GitHub - rust-osdev/acpi: Rust library for parsing ACPI tables and AML ACPI には様々なテーブルがありますが、このラ…

Rust 自作 OS 日記/Part 3 ブートローダー

最近の大きな変更点は、カーネルとブートローダーを分離しました! UEFI の便利なところはカーネルを直接起動できるところです。 一方、カーネルに UEFI のコードが含まれることによる問題も少なからずあるので、 ブートローダーを分離することになりました…

Rust で ARM64-UEFI Hello World

以前書いた日記の続きになります。 neriring.hatenablog.jp Rust ではさまざまなターゲットがあり、比較的容易にクロスコンパイルできます。 一方 UEFI も PC に依存しないように設計されていて、 x86 系とは全く別のアーキテクチャである ARM 系 CPU などに…

EFER.LME と EFER.LMA

EFER.LME と EFER.LMA をご存知ですか? これらのフラグは x64 CPU でロングモードの遷移に関わるフラグです。 では、2つのフラグの役割の違いをご存知ですか? ロングモードの遷移 ロングモードの遷移についておさらいしてみましょう。 *1 まずは、 CR0 レ…

Rust 自作 OS 日記/Part 2

前回の日記からまた間が空いてしまったので進捗をば。。 最近多忙につき、あまり開発時間が取れてないですが、 ウィンドウシステムっぽいものを実装始まりました ちなみに以前作ってたアレがこんな感じ まるで進化してない 見た目はだいぶそれっぽいになりま…

Rust 自作 OS 日記/Part 1 my new gear...

前回の日記でお察しかと思いますが、さいきん Rust + UEFI で OS がどのくらい作れるのか検証していました。 TL; DR 結論から言うとマルチスレッドが動く程度までは動いて、今後も継続して開発していこうと思います。(๑╹ω╹๑ ) Rust で OS Rust 特有の苦労し…